「孤独と逞しさ」そして「思索と試作」。
まるネコ堂 本館2階
今回の作品展示では、4つの作品を展示します。1つ目は、前回の芸術祭で制作途中だった「孤独と逞しさ」です。この期間に描き進めたものを、一度自分の中で完成を迎えたいと思っています。クジラと木を、そこに存在している存在として描き切ることを目指しています。
2つ目は、思索の1つとしての「ドストエフスキイとの対峙」です。自分自身の自画像とドストエフスキイの自画像が対をなす作品として、展示します。僕にとってドストエフスキイは、他人とは思えない、僕の恩師とドストエフスキイとの関係を通して、恩師と僕自身がどう対峙するか。ドストエフスキイの自画像を、僕がドストエフスキイとして描く。そういう取り組みとして取り組んでいます。一度描いて完成とはならず、何度も繰り返し取り組んでいきたいと思っています。
3つ目は、試作の1つとしての「ヨハネの黙示録の情景や生き物の習作」です。ヨハネの黙示録に描かれている情景を、とにかくスケッチしたものを展示します。作品として、どういうシーンを、どのように描くのか。試作と思索の過程を展示します。描いたシーンの文章も一緒に展示予定です。
そして、最後の4つ目は、「試作のポストカード群」です。美術館に行って触発されたり、日々の中で描きたいと思ったものをとにかく描いて見たりした作品たちです。
全体を通して、「目の前に存在するものを見て描く」ということが一貫したテーマです。これまでの自分は、描きたいと思う世界観をとにかく思いっきり描くということをやりたいと思って実際に描いてきました。でも、それだけではどこか不十分な感じがするようになりました。どんな対象であっても、まずは目の前にある存在として、その存在と対峙してとにかく描き切るということをやりたいと思っています。その上で、ここはこうしたいだったり、こんな風にしたらどうかという、自分自身の感性、イメージで創造していく。そうしたリアルと創造に、思索と試作を通して取り組みたいと思います。
1986年生まれ。東京育ち。とにかく体を動かすことが好き。無我夢中に、無心で取り組める感じや状態。この感じという自分自身の感覚を信じること。絵を描くことも、そういう感じがある。ギターやテニスをする中でも、そういう感じがある。
インタビュー実施日:2021年12月23日